試しに死んでみることの効用
飛び込み用の深いプールの底に立っているのを想像してみてください。
薄暗く息もできず、重苦しい水圧に押しつぶされそうです。見上げるとはるか遠くの水面がキラキラと輝いています。
浮力に任せてゆるゆると浮かび上がると、だんだん水圧が減り、楽になっていきます。光がどんどん近付いて、ああ早く上がりたいという気持ちが高まっていきます。水面に顔を出してまずは深呼吸。まとわりつく水圧からも解放されて、
「ああ~生き返った!」
これが死んだときの感覚だと、実際に死んだ人が言っています。
水から上がる感覚は、ちょうど肉体という波動の低い衣服を脱ぎ捨て、波動の高い魂というエネルギー体に戻る様子をよく表しています。それが本来の姿ですから、里帰りしてほっとするのもうなずけます。
ヒプノサイエンスラボの退行催眠では、退行した人生を辿った後、亡くなる日を見届けます。自分の死ぬところを経験するのはちょっと怖いと感じるクライアントさんも中にはあります。
でも2つの理由でやる価値があるのです。
一つには過去世での死因が現在の心身の不調となることが多いこと。
たとえば溺れて亡くなっている場合、多くの場合幼少期に呼吸器の問題があります。背中を刺されて亡くなっていた人は、その同じ場所が理由もなく痛む(その場所に生まれつき痣や傷がついていることもしばしば!)。土やぬかるみの中で息絶えた人は土の匂いが生理的に嫌い。など例はたくさんあります。
亡くなり方を確認することで、その人生と現在の人生は別物だと自覚すると、それだけで症状はすっきり消えていきます。
そしてもう一つは、一度死ぬとすっきりするからです。
今の人生は一本勝負。死んだら終わりです。でも生きながらにして死んでみると、妙に気持ちが楽になります。そして「さあリセットして生きなおそう」という爽快感があります。「こんな風にして過去の自分は人生を終えたんだな」ということが分かると、不思議と度胸が据わり、もう死ぬことが怖くなくなります。
今の身体とそれに付いた名前の人物として生きるのは今回だけですが、
不滅の魂としての自分が実感できると細かいことでくよくよ悩むのがばからしくなってきます。これは実際に体験しないと分からないかもしれませんね。
一つ大変興味深い死のシーンがありました。
そのクライアントさん(30代の男性)は第2次世界大戦中にアウシュビッツに収容されたユダヤ人の若い女性でした。ガス室に入れられて息絶えたのですが、その毒ガスについて、かつて大きな事件がありました。
「マルコポーロ事件」と言って、文芸春秋社の雑誌『マルコポーロ』に、ホロコーストはでっちあげだという趣旨の記事が掲載され、それにアメリカのユダヤ人人権組織がかみついたのです。結果、雑誌は自主廃刊となりましたが、真実は闇の中でした。記事では「ガス室で使われた毒は非常に弱く、昆虫ですら死ぬのに一昼夜かかる。よってガス室はなかった」と。
そこで以前ジャーナリストでもあった私としては、あの記事の真偽を確認したくなりました。彼女はガス室に入り、すぐに意識が亡くなり、肉体を離れてしまいました。つまり、この件はユダヤ側が正しかった、ということです。
こんな風に歴史の真実がリアルに語られるのも、退行催眠の面白いところ。
師匠のドロレス・キャノンは退行催眠を通じて歴史上の人物をたくさんインタビューし、本に著しています。いつかヒプノサイエンスラボにも著名な歴史上の人物が訪問されることを心待ちにしています。もしかしたらあなたの過去世探検が歴史の知られざる真実に光を当てるかも?!
関連する記事はこちら
セラピストとして働く傍らで、スピリチュアル系、メタフィジカル系の書籍を多数翻訳し、日本に紹介し続けています。2014年10月他界したドロレス・キャノンの生前最後のメディア向けインタビュー記事を執筆したジャーナリストでもあります。