『第4の水の相』固体・液体・気体を超えて 本日発売です。
水には3つの相がある。
と理科で習いましたよね。しかし、ほんとは4つの相がある、という話です。水が親水性の表面に接するとそこには液晶のように密度の濃い水の層(これができる過程で不純物を排除するため、排除層と呼んでいます)がつくられます。卵の白身のようにねっとりしたその層はそこらじゅうに存在します。コップの水のガラスに接したところ、空気に接した水滴の表面や海面にも分厚い水の層ができています。血管の中でも、樹木の導管の中でも、およそ水のあるところには、排除層が作られます。この発見により医学にも応用科学にも工業分野にも新しい展望が開かれます。
行き詰まる科学の最前線
ところが、こんなベーシックな発見を科学界が今までほとんど無視してきたところに科学の深刻な現実があります。近年基礎科学研究は鳴りを潜め、大きな発見はほとんどなく、小さい改良程度の進歩しかないと言われます。何故かと言えば、ひと時代前の科学の恩恵を受けてつくられた製品の既得権という壁があること、そしてアインシュタインをはじめとする権威者の過ちを後続の科学者が忖度して指摘できないという歯がゆい状況があるのです。
本書の著者、ポラック博士はそこに風穴を空けるべくたくさんの実証実験を重ね、アインシュタインを否定し、名だたる権威者の間違いを指摘しつつ、身近な水の真実を解き明かしました。これはバリバリ化学の本ですが、サイエンスとは本来、自然を解き明かすシンプルな法則を見つけるもの、という原点に立ち返り、身近な疑問をたくさん解説しています。
水について徹底的に掘り下げた化学実験の本でありながら、いまだ解明されていない地球の神秘についてもたくさん言及し、科学界に一石を投じるという、ハチャメチャなほど盛りだくさんな内容です。私たちの身近な自然についての知識が増える、サイエンス分野に収まらない本です。
翻訳後記
私が本書の翻訳をしたのは2016年から2017年にかけてのことでした。高校時代に最も敬遠してきた化学にがっつり取り組んだあの時期、本当に久しぶりに新しい知識を得る喜びを感じながら翻訳を続けました。電荷の話や赤外線などの放射エネルギーが、私たちの体のミクロの部分で生命維持に深くかかわっていることを本書を通じて学びました。水の魔術師と呼ばれるオーストリアのヴィクトル・シャウベルガーのこと、光の届かない深海では、赤外線のおかげで生物のパラダイスだということ、温度の定義が実はかなりテキトーに言われていることなど、科学はまだまだ未開領域だらけの新しい原野だという印象を新たにしました。こんなに身近な水でさえ知らないことだらけなんですから、地球はまだまだ謎だらけです。しかし、翻訳を終えてから実に3年余り。出版に至るまでかつてないほど長い時間がかかった、忘れられない一冊となりました。
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セラピストとして働く傍らで、スピリチュアル系、メタフィジカル系の書籍を多数翻訳し、日本に紹介し続けています。2014年10月他界したドロレス・キャノンの生前最後のメディア向けインタビュー記事を執筆したジャーナリストでもあります。