新刊発売のお知らせ
『コンパッション』慈悲心を持つ勇気が人生を変える
折しも西国観音霊場を巡り、満願成就して帰った日にこの新刊が発売となりました。
2年前に先達となって、何度も巡っているのは「慈悲の道」。観音菩薩様の慈悲の心に近づくための修行の旅です。そして慈悲とは英語でコンパッション。この新刊は、慈悲心がいかに自分や周りの人々を幸せにし、世界を救うかを多方面から解説する、慈悲心育成のためのガイドブックです。
慈悲という言葉が仏教を想起させるからでしょうか。宗教を嫌う日本の読者向けに、敢えてカタカナのタイトルをつけたのは出版社です。しかし著者はダライ・ラマの通訳を長年務める元チベット僧ですから、内容は仏教哲学が色濃く反映されています。四無量心や六波羅蜜といった仏教の主要な概念がやさしく解説され、仏教が如何に慈悲の心の達人をつくるかが伺えます。
とは言えこれは宗教の本ではありません。日々情報に追いまくられて競争を強いられている現代人を癒やし、幸福へと導く処方箋は、思いやり(慈悲)の一択だという話です。自分を含め、自分に好意的な人も自分を嫌いな人も、みな同様に幸福を求め、苦痛を避けたいと願う、同じ人間だという認識に立ち、人類同胞に対する思いやりをお互いに持つことで、世の中はずっと住みやすい場所になる、という提言です。
人は利己的動物だという間違い
「人は利己的な生き物だ」という定義が合理主義や物質主義を強化し、ぎすぎすした世の中を作ってきたことに著者は警鐘を鳴らし、そもそもそれは間違いだと主張します。本書では「人がもともと優しさを持って生まれている」という定義を裏づける研究結果をたくさん示し、人は他人の役に立つとき最も幸福を感じるという幸福の極意を指南します。それは私たち全員に等しく備わっている資質であり、ダライ・ラマやマザーテレサのような偉人でなくても、日常的に実践可能なことです。
スタンフォード大学で実施されている、慈悲心育成プログラムのテキストでもあるため、科学的に慈悲を検証するデータがたくさん書かれていますが、日本人には「情けは人の為ならず」と言えば、瞬時にわかる話かもしれません。
リチャード・ギアもこんな風に言っています。
「慈悲の精神を高邁な理想ではなく、俗世間のとっ散らかった現実の中に持ち込んだジンパの実用的なセンスを称賛したい。「コンパッション」は、困難な今という時代にこそ求められる本と言える」
是非一度お手に取ってみてください。
そして地球に生きる生き物みんなにやさしい社会をともにつくりましょう。
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セラピストとして働く傍らで、スピリチュアル系、メタフィジカル系の書籍を多数翻訳し、日本に紹介し続けています。2014年10月他界したドロレス・キャノンの生前最後のメディア向けインタビュー記事を執筆したジャーナリストでもあります。